オバマ大統領の訪日、アジア歴訪は日本にとって何だったのか。4月24日の共同記者会見で「尖閣諸島は日米安保第五条の適用対象になる」と言明したのはよかったのだが、大局的にアメリカのアジア外交戦略に揺るぎがないのか。
結論から言うと、オバマ政権のアジアにおける「あいまいさ」が払拭されていないと言わざるを得ない。
それは、日本、韓国、タイ、フィリピン、豪州との同盟がありながら、アメリカは中国に対して「新型大国関係」を維持、発展させようとしていることが見て取れるからである。つまり「同盟国も重要だが、中国も重要で、とにかく当たり障りのないように仲良くしよう」という姿勢なのだ。
実際に、アメリカのアジア重視という発言とは裏腹に、アジアにおける軍事面での対応は期待外れが続いている。さらに、不幸にも中国を除外する戦略的意図があるTPPについても大筋合意が見送られてしまった。
3月にアメリカ国防省の高官が「ピポッド政策(アジア重視)は見直されつつある。率直に言ってそれは実行不可能だ」と口を滑らせてしまっていたが、本音であろう。
日本はアメリカとの日米同盟があるものの、それに安住できるほど甘くはない国際情勢に巻き込まれつつあると考えるべきだろう。端的に言うと「アメリカは日本を守らないかもしれない」ということだ。
アメリカと中国の「新型大国関係」が今後、日本の孤立化を招かないように、慎重で老獪な外交戦略が必要とされてきていると言える。