9月29日に堺市長選の投開票がありました。その結果「大阪都構想」を掲げた“日本維新の会”傘下の地域政党である“大阪維新の会”公認候補が落選しました。大阪の主要選挙で連戦連勝してきた橋下徹代表の求心力が低下し、「維新は終わりか」という声も出ているようです。
今回の選挙は「大阪都構想」が争点でした。大阪府と大阪市・堺市などの二重行政を解消して、非効率な行政を変革するという目的もあったようですが、ここはよく検証しなければならないと思っています。
ただ、私は「大阪都構想」に関して、地域主権という意図に危うさを感じています。経営という観点ではあり得る話です。しかし、対象は国家であり、地方自治に関することなので、会社を経営する発想だけでは間違います。
結論を述べますと「今は地域主権のような考え方が国政をリードすべきときではない」ということです。
沖縄県知事の言動によって、日米安保からアジア戦略まで、外交面でかなり国家外交が揺さぶられました。今もそうです。これは良いことではなく、異常なことであり、国家の危機なのです。
地方が勝手に国とは違う方向に動き始めたら、統制がつかなくなります。地域振興によって、地方が経済的に発展することは良いことです。しかし、国家の主権を分割するような動きを地方がしてしまっては、国家そのものの基盤を揺るがし、日本の国益が損なわれかねません。
その意味で、今回の選挙で、日本に蔓延している「地域主権は良いことだ」という風潮に、歯止めがかかったことは良いことなのかもしれません。ここで、もう一度「国家とは何か」「地方自治とは何か」「国益とは何か」ということを、マスコミをはじめ、日本全体で考え直さねばならないと思います。
そして、橋下氏に関してですが、私はトリックスター的にマスコミや国民の歓心を買うような言動を得意としているように見えます。敢えてマスコミを挑発し、面白い発言をセンセーショナルに行って注目を浴びようとする意図を感じます。その手法は、面白い芸をして人気を博し、飽きられる前によそに移動していくような“旅芸人”のようです。
私は、橋下氏を何もしない政治家よりも、“ものを言う政治家”として、有難い存在ではあると思っています。しかし、国政に関与するならば、もっと本質的な国家観や理想、そして哲学なるものがなければ、国の方向を誤ってしまうという“危うさ”も感じています。
私たち幸福実現党は、国家ビジョンや政治哲学をしっかりと持っています。そして、人気取りよりも、言うべきことを言い続け、国民を本当に幸福にしたいと考えて四年間活動を続けております。
いろいろな政党がありますが、政党が目指している「理想」や「国家ビジョン」、そしてその根本にある「世界観」や「人間観」というものが極めて大切です。この違いを国民の皆様にご理解いただけるように、頑張っていきたいと考えています。