「経団連 賃上げ提唱 春闘指針 成長確保へ異例」という言葉が、今朝の新聞の見出しで躍っていました。
経団連の米倉会長が、来年度の春闘で、業績の良い企業に賃上げを呼びかける内容になるとの考えを示したとのこと。消費増税しながらも、アベノミクスを鈍化させないために、成長を後押しすることが狙いなのでしょう。
さて、経団連会長は安倍首相と歩調を合わせているのでしょうが、矛盾を感じます。消費増税はデフレ圧力の最たるものの一つです。税率が上がるということは、物価が上がるのを止める力が働きます。このときに「賃上げをせよ」というのは、経営者は「景気を抑え込む政策を行いながら、企業には“従業員の給料を上げなさい”と言われても、それは無理難題と言うもの。ただでさえ、競争が激しいので、消費増税分を商品価格に上乗せができない。増税分で企業の利益が減ってしまうのに、その上、“従業員の給料まで上げよ”というのは、死ねということか」と感じてしまうでしょう。
今の政府や財界が言っていることを客観的に見ると、「増税します」そして「給料上げろ」ということですから、何やら日本は“社会主義国家”になったのかと思ってしまいます。
インフレ目標を掲げて、金融の量的緩和を行い、それで企業収益が改善し、雇用・所得の改善まで及ぶのに2年はかかると言われています。(ですから、アベノミクスをはじめてわずか9ヵ月で消費増税を表明するのは、景気の腰折れを起こす危険があると訴えていたのですが)
景気回復、デフレ脱却が実感できないうちに、民間企業の給与のことまで口を出すのはいかがなものか。日本は自由主義・資本主義の国です。個人や民間は、自由に物事を決められるからこそ、発展・繁栄へ向けて力強く判断・遂行し、責任を取ることができるのです。いつから従業員の給料のことまで、政府などから指示を受けないといけなくなったのでしょう。
政府は、民間の給料を上げたいのなら、経営者が給料を上げてもよいような環境をつくることが仕事のはずです。
まだまだ、日本社会は、社会主義の考え方によって浸食されていることに危険を感じます。このような発想だと、本当の経済発展は実現できません。
民間が、もっと大胆に、もっと元気に力を発揮できるように、“自由主義的な考え方”を浸透させなければならないと感じています。