2013年
12月
18

「国家安全保障戦略」策定 5大紙+1の反応

政府は17日に「国家安全保障戦略」「防衛計画の大綱」「中期防衛整備計画」を決定しました。

何が決まったのかを簡単に言うと、概略は以下の通りです。

  • 国家安全保障戦略」…外交・防衛の根本的な基本方針。
  • 防衛計画の大綱」 …長期的な防衛力整備の概要。
  • 中期防衛整備計画」…大綱を実現するために、今後5年間で整備すること。

「大綱」と「中期防」は、今までも策定してきました。

特筆すべきは「国家安全保障戦略」です。安倍首相の祖父である岸信介内閣が1957年に「国防の基本方針」というものを策定して以来の、新たな基本方針です。

今回の特徴はいろいろありますが「国際協調主義に基づく積極的平和主義」を打ち出し、一国平和主義の殻に閉じこもらず、積極的に国際社会の平和に貢献しようとするところです。戦後の日本の防衛政策の大きな転換で、画期的です

ということで、新聞各紙がどう反応したのか、比較してみます。

評価したのが「産経」「読売」「日経」。苦言を呈しているのが「朝日」「毎日」「東京」。

評価組は以下のような感じです。

【産経】…ほぼ全面賛成。さらに「もっと予算を」「集団的自衛権はどうなった」「自衛隊の武器使用基準は」「敵基地攻撃能力の保有を検討にとどめている」「憲法9条改正は」という論点は踏み込みが甘い、と要求しています。

【読売】…ほぼ全面賛成。ただ「財政が厳しいので優先順位の低いものは必要ないのでは」と心配し、「集団的自衛権」は踏み込むべき課題であるとしています。

【日経】…全体的にあっさり感がありますが、社説でほぼ賛成を表明。「集団的自衛権は積み残した」と苦言しつつ、「限られた予算を効率よく使え」と日経らしい心配をしています。

いよいよ苦言組です。

【朝日】…「積極的平和主義」という言葉に反応し、このまま安倍政権の思惑通りにいくと「戦後の平和主義は足元から崩れる」と主張。しかし、日本の取り巻く安保環境は厳しいとしながら、「このままでは軍拡競争になる」とけん制し、自衛隊の装備増強に「国民の理解が得られるか」と心配しています。結論は「国際社会の共感を生むためにも、日本の平和主義をどう位置づけ、いかに活用するか。明確に発言すべきだ」と、わかりにくい表現をしています。意訳すると「安倍政権の積極的平和主義は、軍国主義に近いのでないか。はっきりさせろ」と言いたいのでしょう。

【毎日】…防衛に偏りすぎている」「中国への対抗意識をむき出しにして不必要な対立をあおるのは賢くない」とし、「外交と防衛はバランスよく」進めるべきで、「外交力を強化し、周辺国との関係を改善せよ」という主張です。別に対抗意識でしている訳ではないのですが。

【東京】…外交よりも、軍事に重きがある」「困難だろうが、外交力を駆使して中国に粘り強く働きかけてほしい」と理想論。極めつけは「時には耐え忍ぶ『戦略的忍耐』も必要だ」と述べていることです。結論は「外交力を磨いて、軍略よりも知略だ」とのこと。正直、ここは大丈夫かと思ってしまいました。

今回は、はっきりと二分されました。苦言組は「日本を取り巻く環境が厳しくなっていることを、悔しいけれども認めざるを得ない。だからと言って、防衛力を強めることには反対したい。外交力でなんとか乗り切れ」という苦しい言い分のような感じがしました。これで、国民の生命、安全、財産が守れるのでしょうか中国や北朝鮮が引き下がると思っているのでしょうか現実を見据えて欲しいと思います。

私は、今回の政府の「国家安全保障戦略」への踏み込みは、画期的で評価をします。しかし、幸福実現党の掲げる防衛構想からすると、まだ物足りません。

国民の皆様が「今ここにある危機」に気づくように、私たちも政治活動を展開していきたいと思います。

日本国民、世界人類の幸せのために。

 

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