2014年
1月
18

小泉元首相の「原発ゼロ」を斬る!(前半)

東京都知事選で細川元首相、小泉元首相がタッグを組んで、「脱原発」を争点化しようとしています。小泉元首相は昨年11月12日に日本記者クラブで「原発ゼロ」の講演をしました。非常に無責任な発言だったので、私の「闘魂メルマガ」で反論しました。今回は、都知事選で再燃しそうなので、当ブログに再掲載させていただきます。(前半と後半の2回に分けて掲載します)

小泉氏の発言の論点は2つですが、1点ずつ検証していきます。

1番目の論点は「原発ゼロの方針を政治家が判断すれば、知恵のある人がいい案をつくってくれる。 代替エネルギーは確保できるのではないか。自然を資源にする国家へ」というものです。

まず、現代社会は膨大なエネルギーを確保しないと生存できない文明であることを知るべきです。 エネルギーがなくなると、数日で生存が危うくなります。昨年のフィリピン台風でも、 ガソリンが逼迫しただけで、飢えて大変なことになっていました。

そして、世界人口が百億人に向かい、さらに途上国がこれから近代化していきます。 その状況で、基幹エネルギーをどうするかという問題は、人類の生死を分ける重要な問題なのです。

現在、基幹エネルギーになりうるものは、火力(化石燃料)原子力しかありません。 残念ながら、再生可能エネルギー(小泉氏が言う自然を資源にするもの)は、基幹エネルギーにならないのです。 世界の総エネルギー消費のうち、自然エネルギーの占める割合は1.3%ほどです。 原子力や化石燃料と置き換えるには、どんなに楽観的に考えても途方もなく大変と言わざるをえません。

そして、太陽光や風力などはエネルギー密度が低く、エネルギー保存則による限界があり、 火力や原子力の代替エネルギーになりえないのです。 太陽光などは、サンシャイン計画、ニューサンシャイン計画、ムーンライト計画など、今まで国を挙げて取り組んできましたが、 挫折してしまった経緯があり、枯れた技術とも言えるのです。(小さな単位での発電は有用ですが)

このように、「原発ゼロ」にすると、現在では火力(化石燃料)しか代替エネルギーはありません。 しかし、火力による発電には大気汚染を伴います。 WHOなどの試算を根拠に計算すると、「原発ゼロ」にした場合、日本で年間3000人ほど、大気汚染が原因で亡くなってしまいます。 これを全世界にあてはめると、毎年100万人の死者が増えるとの報告があります。原発を無くすことでリスクも増えるのです。

このような前提で、「原発ゼロ」というのは、経済問題(富の流出、国民負担増、雇用減など)もさることながら、 一定の人間を死に至らしめる無責任な発言とも言えるのです。

その上、「原発ゼロ」は、貧しくてエネルギーのない国に対する利己的で無慈悲な差別行為との意見もあります。 「原発ゼロ」にすれば、大きな人口を抱える中国、インドなどをはじめ、多くの国が化石燃料の争奪戦を展開します。 エネルギー価格が高騰します。そして、化石燃料が確保できなければ、戦争の危険性が高まります。 途上国は産業を興せなくなり、化石燃料を確保できない途上国と先進国と間の貧富の差が拡大していくでしょう。

さらに、日本の「原発ゼロ」は、中国、北朝鮮そして韓国などの近隣諸国の核関連技術が向上していく中で、 日本だけが科学技術力が低下していくことになります。中国、韓国は原発推進の旗を降ろしていないのです。 中国などは、日本の「原発ゼロ」を腹の中では歓迎しているでしょう。 核関連技術が他国より勝っていることは、潜在的な軍事的抑止力になっているのですが、 「原発ゼロ」になれば、日本は中国に隷属化する可能性が高くなります

しかも、小泉氏は「代替エネルギーは確保できるんじゃないか」と発言していますが、あくまで推測の域を出ておらず、 あろうことか「即時ゼロ」とハッキリ言っているので、無責任の極みとしか言いようがありません。 「火力や原子力の代替エネルギーがあることを科学的に説明せよ」と言いたい

ちなみに、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏は自然エネルギーに懐疑的で、 「自然エネルギーは世界のエネルギー問題の解決策にはならない」という意見を述べています

また、ダライラマも脱原発に反対で、「発展途上国にとっても十分なエネルギーでなければ、 貧富の差が広がってしまう」という懸念を表明しています

次回は「核廃棄物をどうするか」という論点です。 いわゆる「トイレなきマンション問題」のことです。

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