現在、国会では「国家安全保障会議設置法」の審議が行われています。国家安全保障会議は「日本版NSC」と呼ばれています。NSC(National Security Council)は、アメリカが第二次世界大戦後に作り、その後多くの国がアメリカを手本として設置してきました。
その目的は、国家の「安全保障」と「危機管理」において大統領や首相を補佐し、国家の安全を守るための政策の統合を迅速に調整することにあります。つまり、「国民の生命に係わることを、もっと迅速に実行できるようにしましょう」ということです。
「今までそのような組織はなかったのか」という素朴な疑問が出ると思います。ありました。それは、内閣の安全保障会議というもので、9大臣が集まって行っていました。9人もいたら重いので迅速性に欠けます。しかも、安保会議で決議したことを、直後に開く閣議(閣僚全員が出席する)で決定して初めて効力を持つとのこと。ですから、簡単に言うと「二度手間」ということですね。
今回の日本版NSCは、新たに4大臣会合(首相、官房長官、外相、防衛相)を新設します。そして9大臣会合も残します。さらに、緊急事態会合(首相、官房長官、必要な国務大臣)を新設して、機動性を増すようにします。これら3つの会合を上手に組み合わせて、安全保障や危機管理を行っていくことになります。
さらに、内閣官房に「国家安全保障局」を設置し、多省庁間にまたがる政策調整、情報収集などを機能的に行います。(省庁間の縦割りがきついので、どこまで機能できるか)
また、日本版NSCができることによって、他国の同様な組織のカウンターパート、すなわち対話相手として受け皿ができるようになり、他国との連携がスムースに行くことを期待されています。
昨今の東日本大震災、それに伴う津波による原発事故、尖閣諸島問題、アルジェリアの人質事件など、大小の有事が頻発する現状から、国の安全保障や危機管理の機能が高まることは良いことです。しかし、せっかく日本版NSCができても、そのトップに村山さん、鳩山さん、菅さんのような人が立ったらどうしようもありません。システムは良いものにしていかねばなりませんが、運用するのは、結局は人です。
国を守るとか、国民の生命を守るということは、高貴な精神、愛国心、国防に対する肯定的な気持ち(つまり自衛隊に対して感謝と誇りを持っているということ)、人々を愛する心などが必要です。
そのためには、若いうちからの教育が大切です。素晴らしいエリート教育をして、国家にそのような人材を供給できるようにすることが、日本版NSCに限らず、安全保障、危機管理をしっかりとする体制の構築につながります。