2014年
9月
04

朝日新聞「池上彰氏“慰安婦報道批判”コラム掲載拒否」から、一転再掲載へ

DSC0989894日の朝日新聞朝刊15面に、「池上彰の新聞ななめ読み“慰安婦報道検証―訂正、遅きに失したのでは”」というコラムが掲載されました。

ご存じのように、朝日新聞は一時、掲載を拒否。池上氏が怒って、連載中止の申し入れをしたところ、一転、掲載の運びとなりました。

池上氏コラムの趣旨は以下の内容でした。

「過ちがあったなら、訂正するのは当然。でも、遅きに失したのではないか。過ちがあれば、率直に認めること。でも、潔くないのではないか。過ちを訂正するなら、謝罪もするべきではないか

今頃やっと、という思いが拭いきれません。今回の検証で“虚偽”と判断した人物の証言を掲載してから32年も経つのです」

「今回の検証は、自社の報道の過ちを認め、読者に報告しているのに、謝罪の言葉がありません。せっかく勇気を奮って訂正したのでしょうに、お詫びがなければ、試みは台無しです

 至極もっともな内容です。

 そして、朝日新聞は『池上さんと読者の皆様へ』というコメントを付けています。

「今回のコラムは当初、朝日新聞社として掲載を見合わせましたが、その後の社内での検討や池上さんとのやり取りの結果、掲載することが適切だと判断した。池上さんや読者の皆様にご迷惑をおかけしたことをおわびします」

それに対し、池上氏は「(前略)過ちを認め、謝罪する。このコラムで主張したことを、今回に関しては朝日新聞が実行されたと考え、掲載を認めることにしました」とコメントを添えています。

朝日新聞は文春や新潮の広告掲載を拒否しており、心ある朝日記者からも「自社批判」がくすぶっているようです

今回の騒動を見て、池上氏がジャーナリストとして影響力があり、この問題が話題になったので、朝日新聞は急遽、再掲載に踏み切った感があります。もし「池上氏でなかったら」「話題にならなかったら」と考えると、事実は闇の中になったのではないでしょうか。そこに、朝日新聞社としての「怪しい本音」が見え隠れしているようで、私たちは信じきれないものを感じます

朝日新聞の慰安婦報道に関しては、本当に誤報であったならば、社長が出てきて謝罪会見をすべきです。いつも不祥事を起こした会社の記者会見で、厳しいツッコミを入れている報道機関として、自社が不祥事を起こしたにもかかわらず、トップも出てこないのはいかがなものか。これから不祥事を追及する資格なしですね

食品会社が不良品を販売し、国民の健康を害したら、即座に販売停止、トップによる謝罪、被害者補償など、社運をかけて信用回復につとめます。

今回の朝日新聞の誤報は、32年間も虚偽の報道を垂れ流し国や国民の信用をどん底まで落としているのですから、食品会社の不良品販売どころではないはずです

ですから、トップが謝罪し、そして、国際社会に向けて、社運をかけて誤報だったことを宣伝し、説得して回らなければいけないでしょう

そのような気概がないならば、報道機関としての資格なしです。

 最後に、池上氏に関して。いつも、テレビ番組などを見ていると、「わかり易い解説をしているなぁ」と感心しているのですが、一つだけ不満がありました。それは、「このような考え方がある。また、違った考え方がある」といろいろな意見を紹介してくれるのですが、「あなた自身はどうなんだ」と聞きたくなる衝動に駆られていました。当たり障りのない発言に終始して、事実を紹介するのがジャーナリストの使命かもしれませんが、物事には正義というものがあり、万難を排して主張をし、世の中を良い方向へ導いていくことも大切だと思っていました

ところが、今回の池上氏の朝日新聞社への対応は「筋を通して、骨がある」と感心しました。今後の池上氏の活躍に期待したいと思います。

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