6月1日に行われた安倍首相の記者会見で、消費税増税の再延期に関して、以下のような発言がありました。
「今回、『再延期する』という私の判断は、これまでのお約束とは異なる『新しい判断』であります。(中略)『新しい判断』について国政選挙であるこの参議院選挙を通して、『国民の信を問いたい』と思います」
ここで騙されてはなりません。2014年、自分たちで勝手に「消費税増税をする」と宣言し、今回さらに「消費税増税を延期する」と言って、「増税を延ばすことに“賛成”か“反対”か」の二択にしようとしているのです。庶民感情として、増税を延ばすことに賛成したくなるので、これは極めて安倍政権に有利な設定なのです。
消費税増税が正しいという前提で話が進んでいますが、もし、消費税増税が間違っているならば、安倍首相の発言はマッチポンプにしか見えません。
つまり、必要もない消費税増税を勝手にぶち上げ(マッチで火をつけている)、今回の参院選で延期する(ポンプで火を消している)として、参院選の争点にしようとしているのです。自分で必要もない問題を起こしながら、自分で騒ぎ立てて、それを消しているというマッチポンプそのものです。
ハッキリというならば、安倍首相は、間違っている消費税増税を強行し、アベノミクスが中途半端になってしまい、デフレ脱却の推力が足りなくなってしまいました。
それで、消費税増税が間違っていたことを痛感しているにもかかわらず、参院選では、その失政を隠して、「日本の経済のために消費税増税を延期します」と国民を騙し、選挙戦を有利に持って行こうとしているのです。スッキリしません。
しかも、安倍首相は、増税再延期ということで、結局は2019年10月に増税することを約束しているだけなのです。増税に変わりはありません。
あるべき姿は、消費税増税が間違っていたことを認め、増税中止、そして5%に減税することなのです。
消費税増税は正しくありません。“正しくないという目”で安倍首相の発言を見たならば、「自作自演で、日本の経済を悪くしておきながら、選挙戦で有利に進めようしている」という、極めて老獪で、無責任な政治をしているのです。