話せば長くなるところを、できるだけ簡潔に。
徳洲会は日本最大の病院グループです。理事長だった徳田虎雄氏は、地方自治体や日本医師会と対立しながら、全国の過疎地などに病院を設立していった猛者です。ある意味、医療界の既得権益と戦ったイノベータ―とも言えるかもしれません。(評価は賛否両論ありますが)
その際、病院設立のために政治力が必要ということで、政界に打って出ます。紆余曲折を経ながら鹿児島2区で壮絶な選挙戦を展開して当選を果たしますが、選挙違反による逮捕者が続出するなど、ダーティなイメージがついてまわります。
02年ごろに徳田虎雄氏が難病にかかり、「金庫番」である能宗事務総長がグループを仕切るようになります。しかし、その能宗事務総長が徳洲会を私物化し、徳田ファミリーから乗っ取ろうとしたとして、今年の2月に解任されました。
それを能宗事務総長が逆恨みし、徳洲会の内部資料を東京地検特捜部に持ち込みました。
その結果、徳田氏の親族が公職選挙法違反で逮捕者が続出。さらに、内部告発した能宗事務総長も横領で逮捕されました。特捜部は告発者も許しませんでした。
その内部資料によって、猪瀬都知事に金銭が渡っていることが判明したというわけです。このことは、永田町では今年の夏ごろから噂されており、自民党にとっては「猪瀬氏失脚は織り込み済み」という情報もあります。そして、猪瀬氏の次は舛添要一氏を擁立する予定もあるとのこと。
さて、猪瀬都知事ですが、徳田毅議員から5000万円を受け取りました。このお金が選挙運動資金ならば、問題は二つあります。一つ目は「明細書を出納責任者に提出せず、選挙運動費用収支報告書に虚偽の記入をさせたという公職選挙法違反の疑い」です。二つ目は「年間最高150万円の寄付しか受け取れないのに、これを上回る5000万円もの大金の寄付を受け取ったという政治資金規正法違反の疑い」です。
猪瀬都知事は、事件発覚直後は「徳田氏から資金提供を受け、応援してもらうことになった」と述べ、5000万円が選挙運動のための資金だったことを認めていました。ところが、その直後、それを否定し、個人的な借入金だと強弁しています。その際、借用書を提示していましたが、返済期限も書かれておらず、どう考えても本物の借用書とは思えないとの意見が多数あります。特捜部は徳洲会からの闇献金だと見て捜査するのではないでしょうか。猪瀬都知事の都議会での答弁が非常に苦しいもので、“ヤバイ”という感じがしました。
都議会の追求も世論も、猪瀬氏に厳しい状況です。辞任に追い込まれた場合、都知事選となりますが、東京は2020年にオリンピックが控えており、重要な選挙となるでしょう。